SM小説 鞭化粧

泣きむせぶ女たちの夢つづり。本格SM小説集。

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同棲する女たち(九話) 

九話 心を捨てた分身


「あなたも女ね・・・」
厩舎から戻り、寝室を覗くと、リリーは浅い寝息を立てて眠って
いた。イヴリンも旅の疲れで休みたい。
ドレスを脱いで鏡の前の椅子の背にかけ、全裸でそっと忍び
込む。その気配で気づいたのか、習性なのか、リリーの腕がす
がるように寄せられて、そのまま乳房に顔を埋める・・・。
「お姉様ぁ・・・」
「起きてるの?」
返事はなかった・・・たまらなく可愛いとイヴリンは思い、そっと
肩を抱いてやる。
レースのカーテン越しに、めずらしく星明かりが降っていた・・・。
「ぅぅむ・・・」
リリーが、かすかに呻き、くの字に身を縮める仕草をした。
「おなか痛い?」
「・・・うん・・・来るみたい・・・」
その前夜は決まってこうだ。イヴリンは、リリーを向こう向きに寝
かせておいて背に寄り添い、温かなリリーの下腹を撫でていた。
「坊やは?」
「がつがつ食べてた・・・すっかり奴隷らしくなっていて、ちょっと
びっくり・・・ふふふ」
「・・・そう」
「可哀想な子ね」
「うん・・・でも・・・」
「そうね・・・いまさら遅い・・・」
明日にはリリーに生理が来る・・・はじまって二日は苦しむリリー
だから・・・つまり二日の間は厩舎で二人きり・・・リリーの女らしく
やさしい裸身を全身に受け止めて・・・ぶすぶすとくすぶるよう
な不思議な情念をイヴリンは感じていた。

ところが・・・下腹を撫でられて痛みが薄らいだのか、背越しに
抱きくるまれたまま、リリーが言った。
「ちょっと後悔してるのよ」
「何を?」
「やさしくしちゃった」
「ふふふ、でしょうね・・・でもそれは今夜の私も同じこと・・・」
「そうなの?」
「ええ、それで私も・・・ちょっとね・・・考えちゃった」
「うん」
「あの子は愛の対象であってはならないの・・・女として男を想う、
そんなことはあってはならない・・・」
「私たちの愛のために・・・」
「そうよ・・・よかったわ、わかり合えて。正直ちょっと複雑だった」
「うん・・・」
「私たちとの関係は、決してあの子が望むカタチであってはなら
ないの。有無をも言わせず服従を強いられる性奴隷・・・それし
かないのよ」
「君臨する?」
「当然よ。女二人に捧げる人生・・・それは男の悦びなど一切な
い日々の連続・・・」
「ふふふ・・・そうね・・・その中で私たちは日々震え、だから愛が
深くなる・・・ただね、イヴリン」
「うん?」
「廃人にしちゃってはつまらないわよ」
「それはそうよ、当然だわ。苦しみを苦しみと思わなくなったら、
もはや家畜よ。切ないまでの男心にしくしく泣く・・・可愛いあの
子が、もっと可愛くなると思わない?」
「ふふふ・・・うふふふ・・・」
「でしょう? 睾丸は精子をつくり愛のために勃起する・・・なの
にそれの行き場がない・・・私たちにこれでもかと女の体を教え
られ・・・なのに永遠に得られない・・・辛いわよ・・・」
「童貞のまま生きていく・・・可哀想・・・うふふ・・・ああダメ、ゾクゾ
クしちゃう・・・」

このとき二人は、女の愛も、母の慈愛も、やさしさも・・・すべて
を持ち合わせた本来の自分を捨てたのかも知れなかった。
そして誕生した分身としての美しい裸身で抱き合って眠ったの
だ・・・。

朝の餌を二人で運ぶ。しかし今朝の二人は、二人ともドレスで
はなくパンツを穿いたスタイルで、足許もヒールの低い庭用の
サンダルを履いていた。
どことなくいつもと違う雰囲気に、パンティ坊やはむしろ張り詰
め、二人を見るなり、土間に額を擦りつけて朝の挨拶をしたの
だった。
ブタの餌のボウルに焼き肉が湯気を上げ、むき身の卵がのっ
ていた。オレンジジュースもついている。ご馳走だった。
しかしイヴリンは坊やの前に立ちはだかり、笑顔のない面持ち
で見下ろして、そして言った。一方のリリーは、休むように椅子
に座る。
「ご飯の前に訊いておきたいことがあるの」
「はいイヴリン様?」
「訊きたいことは一つだけ、奴隷となる心構えはできた? 捧げ
る覚悟はできたのかしら?」
横からリリーが見つめる中で、正座で座る坊やは、イヴリンを見
上げて言った。
「はいイヴリン様」
「人生をかけて誓えるわね?」
そんなイヴリンのキツい言葉を受けて、リリーが穏やかに言った。
「尽くせば心は届くもの・・・いくらだって舐めさせてあげるんだか
ら・・・ね、坊や・・・美女のアソコを舐めたいでしょう」
その言葉の聞こえる間も、坊やはイヴリンから目を切らずに見
上げ、そして言った。
「はいイヴリン様、リリー様、お誓いいたします」
イヴリンが強く言った。
「きっとよ! 命がけで、きっとよ!」
「はい! イヴリン様! リリー様!」
イヴリンは微笑んだ・・・。
「うん、よろしい。お食べなさい・・・ふふふ」

そして、その日の昼下がり・・・イヴリン、リリーは、マントのような
ガウンを着た姿で現れた。足許は踵の高いヒールブーツ。
いつもより化粧の濃い二人の眸は、やさしく輝き冷えていた。
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